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シャントについて

シャントは透析患者にとって大切な血管です。 自己管理が大切であり、定期的なエコー検査や日頃の注意点を守って長持ちさせましょう。

(以下、『めざめ 大阪腎臓病患者協議会編 2008年8月号』の自著論文より抜粋)

シャント血管とは

透析は体内で生じた老廃物や過剰な水分を尿として排泄のために腎臓が行っている代わりの治療です。
腎臓は流入する大量の血液を濾過(ろか)・濃縮・再吸収し、尿にして排泄します。

血液透析は週3回・1回約4時間~5時間程度で血液を1分間に200ml~300ml程度を体外で循環させ浄化し、余分な水を除去する治療です。

これほど早い血流量は動脈からしか「取れ」ません。
容易に穿刺できる血管は両腕の表在静脈が一番適していますが、静脈はゆるやかな血流しか流れていません。

そこで動脈と静脈を吻合(ふんごう=つなぎ合わせ)し表在の静脈に1分間に500ml~1000ml程度流れる血管を作成したのが透析用の「内シャント」と呼ばれる血管です。

シャント作成部位

血流が取れて刺しやすい場所となると、採血を行うように腕となります。

特に利き手でない方の腕で、手関節より末梢側で、診察時に脈を診るあたりの橈骨(とうこつ)動脈と親指あたりから肘に向かって流れる橈側(とうそく)皮静脈を吻合するのが第一選択になります。

ここで作成できれば、シャント血管は長くなり、「取りの血管(脱血側)」と「返しの血管(返血側)」が1本の腕で可能となります。次の候補は肘窩部(ちゅうかぶ=肘のうちがわ)です。
肘の静脈が2本に分岐する手前で吻合すれば同様に「取り」と返しが可能となります。

腕でどうしても作成困難な場合には大腿部(だいたいぶ=ふともも)の動脈と静脈を利用し、人工血管で作成します。
どの部位で作成可能かの術前診断は、動脈径や静脈径・血流量を測定できる血管エコーが有用です。

バスキュラーアクセス種類(透析用の血管確保ルート)

  • 自己血管による内シャント
  • 人工血管を用いた内シャント
  • 緊急時の内頚(ないけい=首)静脈・大腿静脈から挿入するダブルルーメンカテーテル
  • 皮下留置用カテーテル:

    どこにもシャントを作成できない場合には内頚静脈に挿入したカテーテルを皮下トンネルを通じて長期留置する。

  • 動脈表在化:

    心不全などでシャント血流が心臓に負担をかける時に上腕動脈を皮下に約10cm程度持ち上げて穿刺できるようにしたもの。

人工血管でのシャント作成時の注意

人工血管でのシャントは容易に感染しやすい人には適しません。
また作成後の手入れはが重要です。
定期的なエコー検査と狭窄時のPTA(血管拡張術)が必要となります。

出来る限り自己血管でシャントを作成することがシャントを長持ちさせる事になります。

シャント管理の重要性

動脈と静脈を吻合して作成したシャントですが、「静脈に動脈血が流れること」は不自然な事です。
静脈は早い血流が流れるには適していません。

そのために、吻合部や分岐部のある部分、また吻合部に近いカーブでは血流は乱流となっており、血管には圧力がかかり、血管内が分厚くなり、せまくなる原因となります。

従ってシャント血管には自己血管、人工血管であろうが、寿命があると心得るべきです。

そこで日頃からシャントの自己管理が重要となります。また医療者側の穿刺時・透析中の観察も需要となります。

よくあるシャントトラブルとその対策

狭窄・閉塞(きょうさく・へいそく)

狭窄時には特有のピッチの高い、断続的なシャント音となります(聴診にてすぐにわかります)。
またシャントスリル(皮膚の振動)が消失し、拍動に変わった場合も狭窄が疑われます。シャントエコー検査を直ぐに行いましょう。

閉塞時の診断はシャント音の消失・拍動の消失で触診や聴診にてすぐに解ります。
エコー検査で診断は確定します。

閉塞早期であればシャントPTAで開通出来きますので、病院の担当医にすぐに連絡をとりましょう。

シャント感染

皮膚はさまざまな常在菌が存在し、消毒をしても穿刺時に血管内に入り感染を起こすことがあります。
自己血管でも人工血管でも起こりえます。
感染すれば、発赤・腫脹・疼痛(とうつう)のため直ぐに解ります。
人工血管の場合には敗血症の原因になりえますので、すみやかな治療(外科治療も含め)が必要です。

出血

透析終了時には確実に止血を確認します。
帰宅したあとにかさぶたがはがれて出血することがありますが、あわてずに清潔なガーゼやタオル等で透析終了時と同様な止血が必要です。

その時には感染の事も注意しましょう。
透析終了時に止血困難な時には、その血管よりも中枢側の静脈の狭窄が原因であることもあります。

透析時の脱血不良

多くの場合、吻合部やその近傍での血管の狭窄が原因であることが多く、聴診やエコー検査による狭窄部位の同定が必要です。

静脈圧の亢進

血流量が一定であるのに、静脈圧が上昇する時には中枢側の静脈の狭窄が疑われます(一般には血流量を150ml/minとして100mmHg以上の時には圧亢進として注意が必要です)。

肘より上に表在血管が無い場合、深部静脈との交通枝での圧亢進が疑われます。
その時の表在の血管は拡張し触診で解ります。

人工血管の静脈圧亢進は静脈側吻合部やその中枢側静脈の狭窄が疑われます。

シャントエコーの目的

シャントエコーの目的は「狭窄の診断とシャントPTAの時機の決定」と「閉塞の予防」です。

シャントエコーの適応

【視診・触診・聴診】
吻合部のスリルの低下、および拍動化
聴診による狭窄音
シャント静脈のくぼみ、張りのなさ
手背の静脈の怒張・シャント肢の腫脹(静脈圧の亢進)
【穿刺時】
穿刺困難がある
止血時間の延長
【血流量・静脈圧】
血流不足となった
静脈圧が100mmHg以上ある

エコー検査でわかること

  • シャント血流量・上腕動脈血流量
  • 乱流の部位
  • 血管壁の肥厚・狭窄の有無と程度
  • 瘤内の状態(石灰化・壁の血栓化・肥厚)
  • 穿刺部の解離の有無
  • 人工血管の内宮の状態(ただしポリウレタンでは見えない)
  • 深部静脈への流入部の狭窄など
  • シャント肢の動脈・静脈の全体の把握

PTA(血管拡張術)の適応と治療の実際

シャント血管や吻合部の内径が2mm以下の時は血流が取れていてもPTAの適応です。
突然の閉塞の可能性があります。
一度PTAを行った部位の血管は再狭窄をする確率が高く、定期的なエコー検査が必要となります。
2~3カ月おきに繰り返しのPTAを行っている自己血管内シャントには必ず原因があり、の原因を考慮し、再手術を選択した方がいい場合もあります。
人工血管の場合は自己血管より狭窄・閉塞の可能性が高いのは吻合した深部静脈がもともと脆弱でかつ細く、血流量が多いために、自己血管と人工血管の吻合部とその中枢側に狭窄が生じやすいからです。
人工血管術後は3カ月~6カ月おきにエコー検査が必要です。
術後の手入れが人工血管を長持ちさせる秘訣です。
適切にPTAを行えば5年開存率は70%程度に延長します。

シャントの自己管理の大切さ

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